新居浜郷土史談会

新居浜の歴史

新居のいもだきと芋名月

 先日新居浜のいもだき(新居浜はなぜか「だ」と濁る。古い使い方のような?)に行ってきました。秋雨前線の間と言うこともあり盛況でした。昔から新居・宇摩は芋の名産地でしたが、新居浜は銅山の鉱水により稲作に不向きな土地も多く、宇摩郡は日本三大悪風である「やまじ風」により稲が倒伏・実が入りにくいことから広まったのではないかと考えます。

 なにはともあれ、このいもだき、今では愛媛県内各所で行われ、伊予の秋の風物詩となっています。

 しかしこのいもだき昔から新居浜で行われていたのではなく、元々南予あたりで行われたものが最近になり伝播したようです。

 近年まで新居浜でいもだきは無かったようですが、別の風習があったそうです。会員であった農業博士近藤日出男氏が史談会誌237号に「芋名月」について投稿していますが、「芋を儀礼食として祝い事に使用した例が四国各地で見られる」とある。「新居・宇摩郡では9月の13夜(14夜とも)に畑からよく育った田芋(里芋)を掘り上げ、土をよく落とし、竹竿の先に上下逆さに吊るし、南東月の昇る方向に立てたとし、その月を見ながら父親が一人お酒を飲んだりしていた。」とあります。また「田芋には子芋もたくさん出来、子孫繁栄も表したのであろう」としている。

 中秋の名月を見る風習は全国にありますが、残念ながら新居・宇摩郡で行われていた「芋名月」は戦後には途絶えて、今行っている家は無いのではとのことです。(平成7年時)

 大勢で食べるいもだきもいいですが、一人でのんびりと見る芋名月は風情のある景色です。現代では途絶えていることは残念ですね。