新居浜郷土史談会

新居浜の歴史

駄屋通信2号

 かなり前に会員である喜代吉栄徳氏が出版された「駄屋通信2号」を今度紹介しますとしていましたが、中々紹介出来ていませんでした。
 5月に発行しておられる訳ですから、もうかなり経っての紹介となり、誠にすみません。
 ちらりと前に書きましたが、今回は豊島石で出来た「ラントウ」・別府家の俵札・さむはらについて取り上げられています。
 「ラントウ」は安土桃山時代から江戸後期頃まで作られた供養塔ですが、その形状はあまりにも特異なものです。岡山や香川を中心に流通していますが、隣県である愛媛にも多くあります。
特筆すべき点として、反り上がった大屋根・幾何学的文様などがあります。大屋根に卍クルスと呼ばれる文様や塔内に宣教師を思わせる画像があり、これまでにキリシタン遺物かとも言われてますが、はっきりしません。
このような家型供養塔は全国にもあり、茅葺き屋根を載せた家屋を表しているような気もしますが、「ラントウ」は中世から移行する間の石造物としては特殊な気がします。喜代吉氏はキリシタン大名であった小西行長が代官をしていた関係を述べられていますが、豊島石の五輪塔も四隅が突起化するなど、こちらも特殊です。果たしてキリシタンとの関わり合いがあったのか、豊島に非凡な才能を持ったデザイナーがいたのか。興味は尽きません。
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